高電圧発生器の実験(1)
● 高圧危険! 実験される方はご自身の責任において実験してください。感電事故・電波障害等について、当方は一切責任を負いません。
(1) 小型トランスによる高電圧発生器:
1) 小型鉄心トランス使用;
555発振器で発生させた方形波(パルス状に近づけたもの)を、鉄心トランス(25×20×13mm)(秋葉原で100円で入手、細い巻き線がたくさん巻いてあるが仕様は不明)の外側の巻き線をカッターで剥がし、φ0.3mmホルマル線を30T(ターン)巻き付けたものに印加。ドライバーのトランジスタは、2SD1828(ダーリントン、3A(パルス5A))に放熱器を付けて使用した。
VRの調整はかなりクリチカルで、周期0.4mS、パルス幅0.1mSのときmax700Vが得られた。(by.
アナログ・テスター1200Vレンジ) 1次巻き線は、40Tのときmax400V、20Tのときmax1100V(発熱大)。
駆動時にトランスから若干の音がする。長時間駆動すると、抵抗(5.1Ω5W)はかなり熱くなり、トランジスター、交流パスコンの100μFの電解コンデンサー、トランスのコイルも発熱した。
入力電流、出力電圧は、パルス幅の割合によって大きく変化し、25%のとき0.5A、700V(max)、50%のとき0.9A(発熱大)、600V。555ではこのパルス幅の比率をこれ以上小さくすると発振が停止してしまう。
出力コンデンサー(2kV0.01μF)を工具のドライバーでショートさせると接触前に”シュッ”と放電する。10W程度の蛍光灯に高圧端子の+−をつなげると、ほの暗く点灯し、電圧は200Vまで落ちる。
2) フェライト・トランス使用;
フェライトトランスは、インスタントカメラ(”写ルンです”)のストロボ・フラッシャ回路から取り出した。(8×8×9mm、1次6T、2次巻き数不明) フェライトトランスは鉄心に比べ高周波特性が良いので、555発振器で非常に鋭い低周波パルス(周期7mS(142Hz)、負パルスでパルス幅はオシロで測れないほど非常に小さい)を供給して、2SA1015で反転させる。1次巻き線の入力では0.03mS(33kHz)程度の減衰振動になった。周波数が高いので、出力にはファストリカバリ・ダイオード(1NU41・1kV1A・100nS)を使用した。
注) パルス電流でトランスを駆動すると極性が出るので注意。
パルス幅が狭いため効率が良く、消費電力が小さいので、ガイガーカウンターなどの006P電池駆動の計測器用電源に使用できる。出力max560V、全体の消費電流:
24mA(at.9V)
(2) フライバックトランスによる高圧発生器:(感電注意。危険!)
フライバックトランス(15インチのモニターから分解)のコアを外し、1次コイルとして、φ0.6ホルマル線を25T(ターン)巻く。
555からの負パルスを2SA1015で反転させて正パルスを作り、なるべく発熱を少なくしている。(原発振はトランジスター方式でも何でも良い) 手持ちのパワーFET:2SK3628(Id=20A、Pd=100W、Vdss=230V)は電圧駆動素子なので、2SC1815から直接1段で1次コイルのパルス電流を供給する。
高圧プローブ(Sanwa HV−50、max30kV)をフライバックトランスの高圧端子につなぎ、トランス底部のアース端子を探す。(アース端子の切り替えにはいちいち電源を切ること!)
テスターで測定しながら1kΩ半固定抵抗を調節して、入力電力12V、0.9Aで、約15kVの出力が出る。(耐圧15kVのダイオードを用いたためこれ以上出ない。) FETはかなり温まるが連続使用可能。(放熱器:
61×30×30mm) 555の発振が停止すると、FETに3A以上流れて非常に発熱するので注意。
テスターをはずし、放電ギャップで放電させると、約3mmの放電長になる。 また、10Wの蛍光灯の両端につなげるとやや明るくつく。
さらに、同じ回路で2次側のダイオード無しで、フライバックトランスの1次巻き線をφ0.8ホルマル線
10T(ターン)に巻き変え、555発振用の半固定VRを10kΩ(調整値約6kΩ)にすると、かなり勢い良く放電する。幅の差のあるパルス電流を印加するときは極性が出るので、もし放電の具合が弱いときは1次巻き線のリード線を入れ替える。電圧が高すぎるので、テスター(max30kV)による2次側電圧の測定はしなかった。
この時、入力10Vで、555発振周波数 約2kHz、消費電流 1.5A(非放電時)〜3A(放電時)で、最大1cmの放電になった。 連続使用でFETの放熱器はかなり熱くなった。
(* さらに高圧を得る余地はあるものの、電源容量やFETの放熱器の問題があるので、今後この点を改良していきたい。)